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AIが「減給は月給の10%まで何度でも」と答える2026|労基法91条は1回が平均賃金1日分の半額・総額が1賃金支払期の10分の1、上限を超えないための5つの手順

AIに減給の上限を聞くと「月給の10%まで」と答えることがあります。労基法91条の上限は2段階で、1回の額は平均賃金1日分の半額、総額は1賃金支払期の賃金総額の10分の1です。計算例と、AIの誤りを見抜く5つの手順を解説します。

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「遅刻を繰り返す社員に減給処分をしたい。上限はいくらか」とAIに聞くと、「月給の10%までなら減給できます」と答えることがあります。この答えのまま処分すると、法律の上限を超えるおそれがあります。

労働基準法第91条は、減給の制裁に2つの上限を設けています。1回の額は平均賃金の1日分の半額まで、総額は1賃金支払期の賃金総額の10分の1までです。この記事では、AIが取り違えやすい点と、正しく計算させる手順を解説します。

労基法91条の2つの上限

上限基準となる額意味
1回の額平均賃金の1日分の半額1つの違反行為に対する減給の上限
総額1賃金支払期の賃金総額の10分の1複数の違反があっても、1回の給料から差し引ける合計の上限

条文は「その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない」です。違反すると、第120条により30万円以下の罰金の対象になります。

「平均賃金」とは、原則として直前3か月の賃金総額を、その期間の暦日数で割った額です。月給を30で割った額とは一致しません。

AIが取り違えやすい4つの点

1. 「1回の減給で月給の10%まで引ける」と答える

10分の1は「総額」の上限です。1回の違反に対する上限は、平均賃金1日分の半額です。月給30万円の人なら、1回の上限はおよそ5千円前後で、3万円ではありません。

2. 「1つの違反に毎月減給を続けてよい」と答える

「1回の額」は、1つの違反行為に対する減給の額です。1つの違反に対して「3か月間、毎月5千円」のように分けて減給すると、合計が1日分の半額を超えます。1つの違反には、合計で1日分の半額までと考えます。

3. 「10分の1を超えた分は減給できない」とだけ答える

違反が重なり、1回の給料で総額の10分の1を超える場合は、超えた分を次の賃金支払期に回して差し引く扱いが行政解釈で示されています。ただし、1回ごとの上限は変わりません。

4. 「遅刻した時間分を引くのも減給の制裁」と答える

働かなかった時間分の賃金を差し引くのは、ノーワーク・ノーペイの原則によるもので、減給の制裁ではありません。一方、5分の遅刻で30分ぶんを差し引くように、実際の不就労時間を超えて差し引く部分は減給の制裁にあたり、91条の上限を受けます。

計算例:月給30万円の社員

直前3か月の賃金総額が90万円、暦日数が92日の社員で計算します。

項目計算結果
平均賃金(1日分)900,000円 ÷ 92日9,782円60銭
1回の上限9,782円60銭 ÷ 24,891円30銭
1賃金支払期の総額上限300,000円 × 1/1030,000円
AIの誤答「1回で月給の10%」30,000円(1回の上限の約6倍)

この社員が同じ月に7回の違反で減給を受けると、4,891円30銭×7=34,239円10銭となり、総額上限の3万円を超えます。超えた分は翌月以降に回します。

会社が実務で気をつけたい点

減給の制裁をするには、就業規則に制裁の種類と程度を定めておく必要があります(労基法第89条第9号)。定めがないまま給料から差し引くことはできません。

賞与から減給する場合も91条の対象で、総額の上限は賞与額の10分の1と解されています。一方、出勤停止期間中の賃金を支払わないことや、降格に伴う賃金の減少は、通常は91条の減給の制裁とは扱いが別です。処分が重すぎないかは、労働契約法第15条の懲戒権の濫用にあたらないかも含めて判断します。

AIに正しく計算させる5つの手順

手順1:条文をプロンプトに貼る

「労働基準法第91条:一回の額が平均賃金の一日分の半額、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない」と条文を貼ってから聞きます。条文がないと、AIは「10%」だけを覚えて答えがちです。

手順2:平均賃金の材料を入力する

直前3か月の賃金総額と暦日数を入力し、平均賃金を先に計算させます。月給÷30で代用させないことが大切です。

手順3:境界の4問でテストする

テスト正解
1回の違反で月給の10%を減給できるかできない(1回は平均賃金1日分の半額まで)
1つの違反に3か月続けて減給できるか合計で1日分の半額を超えるなら不可
遅刻した5分ぶんの賃金を引くのは減給の制裁か当たらない(不就労分の控除)
就業規則に定めがなくても減給できるかできない

1問でも外れたら、そのプロンプトは使いません。

手順4:違反ごとの減給表を出させる

「違反日」「1回の減給額」「その月の累計」「総額上限」の表を出させます。1回の額が1日分の半額を超える行や、累計が10分の1を超える月があれば、計算が誤っています。

手順5:専門家と就業規則で確かめる

最後に、自社の就業規則の制裁規定と突き合わせます。処分の重さや手続きに迷う場合は、労働基準監督署か社会保険労務士に確認してください。

まとめ

  • 減給の上限は2段階で、1回は平均賃金1日分の半額、総額は1賃金支払期の賃金総額の10分の1
  • 「月給の10%」は総額の上限であり、1回の上限ではない
  • 1つの違反に対する減給は、合計で1日分の半額まで
  • 不就労時間分の控除は減給の制裁ではないが、それを超えて引く部分は91条の対象
  • 就業規則に定めがなければ減給はできず、違反は30万円以下の罰金の対象

減給の計算にAIを使うときは、まず条文を貼り、4問のテストから始めてください。平均賃金の計算方法は平均賃金の記事で、未払い賃金の時効は賃金請求権の記事で解説しています。

出典:労働基準法第12条・第89条・第91条・第120条(e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049)、労働契約法第15条

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執筆・監修

AI Scout編集部

AIツール・SaaS専門のレビューチーム。最新のAI技術動向を追い、実際にツールを使用した上で、正確で信頼性の高い情報を提供しています。

公開日: 2026年10月7日
最終更新: 2026年10月7日