AIが雇用保険の加入要件を「週30時間以上」と判定する2026|正しくは週20時間以上かつ31日以上の見込み・月の所定は×12÷52で換算・65歳以上も加入、取り違えないための5つの手順
AIにパートの雇用保険の加入要件を聞くと、週30時間以上と答えることがあります。正しくは週の所定労働時間20時間以上かつ31日以上の雇用見込みです。誤りやすい4つの点と5つの手順を解説します。
「週30時間未満のパートは、雇用保険に入らなくて大丈夫です」。AIに加入要件を聞くと、こう答えることがあります。しかし雇用保険の基準は週20時間です。週30時間は社会保険の判定で出てくる目安で、雇用保険とは別の話です。
週20〜29時間のパートを未加入のままにすると、後から遡って加入手続きをすることになります。本人は失業給付や育児休業給付を受けられないおそれもあります。この記事では、AIが加入要件で誤る4つの点と、正しく判定させる5つの手順を説明します。
雇用保険の加入要件
雇用保険法では、次の2つを両方満たす労働者が原則として被保険者になります。
| 要件 | 正しい基準 | AIの誤り |
|---|---|---|
| 労働時間 | 週の所定労働時間が20時間以上 | 週30時間以上 |
| 雇用の見込み | 31日以上の雇用が見込まれる | 契約期間が2か月以上 |
| 年齢 | 上限なし(65歳以上も加入) | 65歳以上は対象外 |
昼間の学生は原則として対象外です。ただし、卒業後も同じ会社で働く予定の人などは例外になります。なお、法改正により2028年10月からは、週10時間以上へ対象が広がる予定です。
AIが取り違える4つの点
1. 社会保険の基準と混ぜる
最も多い誤りです。健康保険と厚生年金は、正社員の所定労働時間・日数の4分の3以上が原則です。週40時間の会社なら30時間になります。AIはこの数字を雇用保険にも当てはめます。社会保険の短時間労働者の要件は改正で順次変わるため、雇用保険とは分けて確認します。
2. 実際に働いた時間で判定する
判定に使うのは、契約や就業規則で決めた所定労働時間です。ある週に残業で22時間働いたから加入、という判断ではありません。ただし、所定を超える勤務が続いているなら、契約の時間数を見直します。
3. 月の所定労働時間を4で割る
所定が月単位で決まっている場合、週に直すには12÷52を掛けます。1年は52週なので、1か月は約4.33週です。4で割ると週の時間が多めに出て、加入しない人を加入と判定してしまいます。
4. 65歳以上を対象外とする
2017年1月から、65歳以上で新たに雇われた人も加入します。「高年齢被保険者」と呼ばれます。古い情報で学習したAIは、65歳以上を除外することがあります。
具体例:月の所定労働時間で決まるパート
月の所定が決まっているパート4人を、2つの方法で週に換算して比べます。
| 月の所定 | ×12÷52(正しい) | ÷4(誤り) | 正しい判定 |
|---|---|---|---|
| 78時間 | 18.0時間 | 19.5時間 | 加入しない |
| 82時間 | 18.9時間 | 20.5時間 | 加入しない |
| 86時間 | 19.8時間 | 21.5時間 | 加入しない |
| 87時間 | 20.1時間 | 21.75時間 | 加入する |
正しい境目は月86.7時間(20×52÷12)です。4で割ると境目が月80時間に下がります。そのため、月80〜86時間の人を誤って加入と判定します。逆に「週30時間以上」で判定すると、月87〜129時間の人を全員見落とします。
AIに正しく判定させる5つの手順
手順1:要件をそのままプロンプトに書く
雇用保険の加入要否を判定してください。
・週の所定労働時間が20時間以上
・31日以上の雇用見込みがある(更新の可能性がある契約も含む)
・年齢の上限はない(65歳以上も加入)
・昼間学生は原則対象外
・実労働時間ではなく所定労働時間で判定する
・月単位の所定は「×12÷52」で週に換算する
・社会保険(週30時間など)の基準は使わない
「社会保険の基準は使わない」と明記するのが要点です。
手順2:契約書の所定労働時間と契約期間を入れる
勤務実績ではなく、雇用契約書の数字を渡します。契約期間が31日未満でも、更新の規定があれば31日以上の見込みありになる場合があります。
手順3:答えの分かる問題で確認する
| 問題 | 正しい答え |
|---|---|
| 週の所定24時間、期間の定めなしのパートは | 加入する |
| 月の所定82時間のパートの週換算は | 18.9時間(加入しない) |
| 週の所定25時間で新たに雇った67歳は | 加入する |
| 週の所定20時間、契約期間が20日で更新なしは | 加入しない |
1問でも外れたら、そのプロンプトは使いません。
手順4:社員ごとに根拠を列で出させる
「所定労働時間」「週換算」「雇用見込み」「年齢」「学生か」「判定」を列で出させます。判定だけの一覧では、どの要件で誤ったか分かりません。
手順5:手続き期限と最終判断は人が確認する
資格取得届は、雇った日の属する月の翌月10日までにハローワークへ出します。複数の会社で働く人や、契約内容が途中で変わった人は判定が分かれます。担当者が確認してから確定させます。
まとめ
- 雇用保険は週の所定20時間以上かつ31日以上の見込みで加入
- 週30時間は社会保険の目安で、雇用保険には使わない
- 判定は実労働ではなく所定労働時間で行う
- 月の所定は×12÷52で週に換算し、境目は月86.7時間
- 65歳以上も加入し、2028年10月からは週10時間以上に広がる予定
パートの加入判定にAIを使うときは、まず4問のテストから始めてください。判断に迷う場合は、社会保険労務士や管轄のハローワークに確認してください。
AI Scout編集部
AIツール・SaaS専門のレビューチーム。最新のAI技術動向を追い、実際にツールを使用した上で、正確で信頼性の高い情報を提供しています。