AIが「無期転換は勤続5年たってから」と答える2026|3年契約なら1回更新した時点で申込権、会社は断れず正社員化でもない、取り違えないための5つの手順
AIに無期転換ルールを聞くと「勤続5年を過ぎてから」と答えることがあります。申込権は通算5年を超える契約が始まった時点で生じ、3年契約なら1回の更新で発生します。誤りやすい4点と5つの確認手順を解説します。
「3年契約を1回更新した契約社員から、無期転換の申込みがありました。まだ勤続4年目ですが、応じる必要はありますか」。AIに聞くと「無期転換は通算5年を超えてからなので、まだ申込権はありません」と答えることがあります。これは誤りです。
労働契約法第18条の無期転換ルールでは、通算契約期間が5年を超える契約が始まった時点で申込権が生じます。3年契約を1回更新すると通算6年の契約になるため、勤続4年目の初日から申し込めます。この記事では、AIが取り違えやすい点と、正しく判定させる手順を解説します。
無期転換ルールの基本
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 同じ会社と有期労働契約を更新し、通算契約期間が5年を超える人 |
| 数え始め | 2013年4月1日以降に始まった有期契約から通算 |
| 申込みの時期 | 通算5年を超える契約の初日から末日まで |
| 会社の対応 | 申込みがあれば承諾したものとみなされ、断れない |
| 無期になる日 | 申込み時の契約期間が終わった翌日から |
契約期間ごとの申込権が生じる時期
| 契約期間 | 申込権が生じる契約 | その時点の勤続 |
|---|---|---|
| 1年契約 | 5回目の更新後(6本目)の契約 | 6年目 |
| 3年契約 | 1回目の更新後(2本目)の契約 | 4年目 |
| 6か月契約 | 10回目の更新後(11本目)の契約 | 6年目 |
判定の基準は「勤続年数」ではなく、「その契約が終わる時点で通算5年を超えるか」です。
AIが取り違えやすい4つの点
1. 「勤続5年を過ぎてから」と答える
最も多い誤りです。AIは「5年」という数字だけを覚えていて、契約期間の長さを計算に入れません。3年契約の人の申込みを「まだ早い」と断ると、法律上の権利を拒むことになります。
2. 「自動的に無期になる」と答える
通算5年を超えても、本人が申し込まなければ有期契約のままです。申込みは口頭でも有効ですが、後の争いを防ぐために書面で受け付けるのが一般的です。
3. 「無期転換すると正社員になる」と答える
変わるのは契約期間だけです。職務や賃金などの労働条件は、就業規則などに別の定めがなければ、直前の有期契約と同じです。「無期転換=正社員の賃金に上げる義務」とAIが答えると、不要な人件費を見込むことになります。
4. 「契約の空白があればリセットされる」と単純に答える
通算がリセットされるのは、契約のない期間が一定以上あるときだけです。これをクーリング期間といいます。直前の通算契約期間が1年以上なら6か月以上の空白が必要です。1年未満なら、その期間の半分以上(端数は1か月単位で切り上げ)が目安です。1か月の空白ではリセットされません。
具体例:3年契約の契約社員
2021年4月1日に3年契約で入社し、2024年4月1日に3年契約で更新した人を考えます。
| 判定 | AIの誤答 | 正しい判定 |
|---|---|---|
| 申込権の発生 | 2026年4月1日(勤続5年経過後) | 2024年4月1日(更新した契約の初日) |
| 2025年10月の申込み | まだ申込権なし | 有効。会社は断れない |
| 無期になる日 | - | 2027年4月1日(契約満了の翌日) |
2本目の契約は2027年3月31日に終わり、通算6年になります。そのため、2本目の契約の初日から申込権があります。
あわせて確認したい例外と2024年の改正
定年後に継続雇用される人は、会社が雇用管理の計画を作り、都道府県労働局長の認定を受けた場合に限り、無期転換の対象外にできます。認定がなければ、定年後の再雇用者にも申込権が生じます。大学や研究機関の研究者・教員などには、5年を10年とする特例もあります。
また2024年4月から、申込権が生じる契約の更新時に、無期転換を申し込めることと、転換後の労働条件を書面で示すことが義務になりました。更新の上限(通算期間や更新回数)がある場合も、その明示が必要です。
AIに正しく判定させる5つの手順
手順1:判定基準をプロンプトに書く
「無期転換の申込権は、通算契約期間が5年を超える契約の初日に生じる。勤続年数ではなく、各契約の開始日と終了日で判定する」と明記します。
手順2:契約の履歴を日付で入力する
入社日だけでなく、すべての契約の開始日・終了日、契約のない期間、2013年4月1日より前の契約の有無を入力します。日付がないと、AIは勤続年数で計算してしまいます。
手順3:境界の4問でテストする
| テスト | 正解 |
|---|---|
| 3年契約を1回更新した人の勤続4年目の申込み | 有効 |
| 1年契約を4回更新した人(5本目の契約中)の申込み | まだ申込権なし |
| 通算3年のあと2か月の空白を挟んで再契約 | 通算は継続 |
| 無期転換後の賃金 | 別の定めがなければ転換前と同じ |
1問でも外れたら、そのプロンプトは使いません。
手順4:契約ごとの通算期間を表で出させる
「契約番号」「開始日」「終了日」「終了時点の通算期間」「申込権の有無」を表で出させます。結論だけでは、勤続年数で判定したのかを見分けられません。
手順5:雇用契約書と就業規則を確認する
2024年4月以降の更新で、申込機会と転換後の労働条件を明示しているかを確認します。無期転換後の社員に適用する規程がない場合は、整備が必要です。判断に迷う場合は、都道府県労働局か社会保険労務士に確認してください。
まとめ
- 申込権は通算5年を超える契約の初日に生じ、勤続年数では判定しない
- 3年契約なら1回更新した時点、1年契約なら5回更新した後の契約で申し込める
- 申込みがあれば会社は断れず、契約満了の翌日から無期になる
- 無期転換で変わるのは契約期間だけで、正社員になるわけではない
- 通算1年以上なら6か月以上の空白でリセットされ、短い空白では続く
労務の判定にAIを使うときは、まず4問のテストから始めてください。試用期間中の解雇予告の扱いは試用期間と解雇予告の記事で解説しています。
AI Scout編集部
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