AIが出産手当金を「98日固定・給与の2/3」と計算する2026|予定日より遅れた日数も支給・出産日は産前・日額は12か月平均の標準報酬月額÷30×2/3、取り違えないための5つの手順
AIに出産手当金を聞くと、98日固定で給与の2/3と答えます。正しくは予定日より遅れた日数も支給され、日額は12か月平均の標準報酬月額÷30×2/3です。誤りやすい4つの点と5つの手順を解説します。
「出産手当金は産前6週と産後8週の98日分、給与の3分の2です」。AIに聞くと、こう答えることがあります。しかし出産が予定日より遅れると、遅れた日数分も支給されます。日額の基準も、給与ではなく標準報酬月額です。
出産手当金は、会社員が出産で休み、給与が出ない期間を支える健康保険の給付です。申請書の事業主欄は会社が書き、社員への説明も人事が担います。この記事では、AIが出産手当金で誤る4つの点と、正しく扱わせる5つの手順を説明します。
出産手当金の基本ルール
| 項目 | 正しいルール | AIの誤り |
|---|---|---|
| 産前の期間 | 出産日以前42日(多胎は98日)。予定日より遅れたら予定日以前42日から | 常に予定日から数える |
| 出産日 | 産前の期間に含む | 産後に含める |
| 産後の期間 | 出産日の翌日から56日 | 出産日から56日 |
| 支給日数 | 遅れた日数分が増える | 98日で固定 |
| 日額 | 12か月平均の標準報酬月額÷30×2/3 | 直近の給与÷30×2/3 |
対象は協会けんぽや健康保険組合の被保険者です。国民健康保険には、原則としてこの給付がありません。
AIが取り違える4つの点
1. 支給日数を98日で固定する
最も多い誤りです。予定日より遅く生まれた場合、産前の期間は予定日以前42日から出産日までになります。5日遅れれば産前は47日です。産後56日は出産日の翌日から数えるため、合計は103日になります。AIは「6週+8週=98日」と覚えているため、遅れた分を落とします。
2. 早く生まれた場合も予定日から数える
予定日より早く生まれた場合は、実際の出産日から42日さかのぼります。産前の期間は前にずれます。その期間に出勤して給与を受けた日は、支給されません。AIは予定日を起点に固定して答えることがあります。
3. 日額を直近の給与で計算する
日額の基準は、支給開始日以前の継続した12か月の標準報酬月額の平均です。協会けんぽでは、平均を30で割って10円未満を四捨五入し、2/3を掛けて1円未満を四捨五入します。加入期間が12か月未満の人は、別の比較で決まります。直近の給与で計算すると、昇給直後の人では過大になります。
4. 給与が出た日も満額支給する
産休中に給与が全額出た日は、出産手当金は支給されません。給与が一部だけ出た日は、出産手当金との差額が支給されます。AIは給与と手当金を両方満額もらえると答えることがあります。
具体例1:予定日より5日遅れた場合の日数
出産予定日が2026年6月10日、実際の出産が6月15日だった社員の例です。
| 区分 | 正しい期間 | 日数 |
|---|---|---|
| 産前 | 4月30日(予定日以前42日)〜6月15日(出産日) | 47日 |
| 産後 | 6月16日〜8月10日 | 56日 |
| 合計 | 4月30日〜8月10日 | 103日 |
AIの「98日固定」では5日分が抜けます。日額6,220円なら、差は31,100円です。
具体例2:昇給直後に産休に入った場合の日額
過去12か月の標準報酬月額が、8か月は26万円、直近4か月は32万円だった社員の例です。
| 計算 | 正しい方法 | AIの方法(直近の月額) |
|---|---|---|
| 基準の月額 | (26万円×8+32万円×4)÷12=28万円 | 32万円 |
| ÷30 | 9,333.3…→9,330円 | 10,666.6…→10,670円 |
| ×2/3(日額) | 6,220円 | 7,113円 |
| 支給日数 | 103日 | 98日 |
| 合計 | 640,660円 | 697,074円 |
AIの答えは56,414円多くなります。日数は少なく、日額は高く誤るため、誤りが打ち消し合って気づきにくいのが難点です。社員に過大な額を伝えると、生活の計画が狂います。
AIに正しく扱わせる5つの手順
手順1:起点の決め方をプロンプトに書く
「産前は出産日以前42日。ただし出産日が予定日より後なら予定日以前42日から出産日まで。出産日は産前に含む。産後は出産日の翌日から56日」と明記します。多胎妊娠なら産前は98日です。
手順2:日額は標準報酬月額の一覧から計算させる
給与明細の支給額ではなく、12か月分の標準報酬月額を月ごとに渡します。端数処理(÷30は10円未満四捨五入、×2/3は1円未満四捨五入)も書きます。
手順3:境界の4問でテストする
| テスト | 正解 |
|---|---|
| 予定日どおりに出産、単胎 | 98日 |
| 予定日より5日遅れて出産 | 103日 |
| 出産日はどちらの期間か | 産前 |
| 産休中に給与が全額出た日 | 支給なし |
1問でも外れたら、そのプロンプトは使いません。
手順4:日ごとの判定を列で出させる
「日付」「産前か産後か」「給与の有無」「支給額」を列で出させます。合計の金額だけでは、どこで誤ったか分かりません。
手順5:退職や加入期間が短い場合は人が確認する
産休中に退職して受け続けるには、被保険者期間が継続して1年以上あることなどが条件です。加入12か月未満の日額も、保険者ごとの基準額との比較が必要です。こうした判断は担当者が保険者に確認してから伝えます。
まとめ
- 産前は出産日以前42日で、出産日は産前に含む
- 予定日より遅れたら、遅れた日数分も支給される
- 早まったら実際の出産日から42日さかのぼる
- 日額は12か月平均の標準報酬月額÷30×2/3で、直近の給与は使わない
- 給与が出た日は不支給または差額のみ
出産手当金の説明にAIを使うときは、まず4問のテストから始めてください。判断に迷う場合は、加入している協会けんぽや健康保険組合、社会保険労務士に確認してください。
AI Scout編集部
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