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AIが「賃金の時効は2年」と答える2026|2020年4月以降の残業代は3年さかのぼって請求でき、有給休暇は2年のまま、取り違えないための5つの手順

AIに未払い残業代の時効を聞くと「2年」と答えることがあります。2020年4月の改正で賃金請求権の時効は当分の間3年です。有給休暇は2年、退職金は5年のままです。誤りやすい4点と5つの確認手順を解説します。

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「2年半前に辞めた元社員から、在職中の残業代を請求されました。賃金の時効は2年なので、もう払わなくてよいですか」。AIに聞くと「賃金請求権の時効は2年なので、支払義務はありません」と答えることがあります。これは古いルールです。

2020年4月1日に労働基準法第115条が改正され、賃金請求権の消滅時効は5年(当分の間は3年)になりました。2020年4月1日以降に支払日が来る賃金は、3年さかのぼって請求できます。この記事では、AIが取り違えやすい点と、正しく判定させる手順を解説します。

改正後の消滅時効の一覧

請求権改正前改正後(当分の間)
賃金(残業代を含む)2年5年(当分の間3年)
付加金2年5年(当分の間3年)
退職手当5年5年(変更なし)
年次有給休暇の権利2年2年(変更なし)
賃金台帳などの記録の保存3年5年(当分の間3年)

対象になるのは、2020年4月1日以降に支払日が来る賃金です。時効は、それぞれの賃金の支払日から数えます。

AIが取り違えやすい4つの点

1. 「賃金の時効は2年」と答える

最も多い誤りです。改正前の情報で学んだAIは、今も「2年」と答えます。2年を過ぎた残業代の請求を「時効だから払わない」と断ると、未払いのまま労働基準監督署の是正勧告を受けるおそれがあります。

2. 「すでに5年になった」と答える

法律の本則は5年ですが、経過措置で当分の間は3年です。5年分の残業代を引当金に積むと、必要以上の負債を見込むことになります。反対に、労働者側が5年分を請求できると考えるのも誤りです。

3. 「有給休暇も3年に延びた」と答える

年次有給休暇を取る権利は、改正後も2年のままです。付与から2年で消えます。一方、有給休暇を取った日の賃金を払っていなかった場合、その賃金の請求は3年です。「休む権利」と「休んだ日の賃金」を分けて考えます。

4. 「時効は退職日から数える」と答える

時効は、退職日ではなく各月の給与の支払日から数えます。たとえば2023年10月25日に支払うべきだった残業代は、2026年10月25日を過ぎると時効を迎えます。毎月の支払日ごとに、古い月から順に消えていきます。

具体例:2年半前に退職した元社員の残業代

毎月25日払いの会社で、2021年4月から2024年3月まで未払いの残業代があった人が、2026年10月6日に請求したとします。

判定AIの誤答(2年)正しい判定(3年)
請求できる範囲2024年10月25日以降の支払分(該当なし)2023年10月25日以降の支払分
2023年11月25日払いの残業代時効で請求できない請求できる
2023年9月25日払いの残業代時効で請求できない時効で請求できない

2年で計算したAIは「支払義務なし」と答えますが、実際には約半年分の残業代を払う必要があります。なお、会社が時効を主張しない限り、時効の効果は生じません。

あわせて確認したい付加金と記録の保存

付加金とは、解雇予告手当や割増賃金などを払わなかった会社に対し、裁判所が未払額と同じ額まで追加で支払いを命じるものです。この請求期間も当分の間は3年です。

賃金台帳や出勤簿などの保存期間も、本則5年・当分の間3年です。記録を2年で捨てると、3年分の請求に反論する証拠がなくなります。なお、本則の5年に移るかどうかは、改正法の施行から5年たった後に検討するとされています。

AIに正しく判定させる5つの手順

手順1:改正後のルールをプロンプトに書く

「2020年4月1日以降に支払日が来る賃金の消滅時効は、当分の間3年。退職手当は5年、年次有給休暇の権利は2年。起算点は各賃金の支払日」と明記します。

手順2:支払日と請求日を日付で入力する

「何年前の残業代か」ではなく、未払いの各月の支払日と、請求を受けた日を入力します。日付がないと、AIは年数だけで大まかに答えてしまいます。

手順3:境界の4問でテストする

テスト正解
支払日から2年半たった残業代請求できる
支払日から3年1か月たった残業代時効(会社が主張した場合)
付与から2年半たった有給休暇の取得時効で消えている
退職から4年たった退職金請求できる

1問でも外れたら、そのプロンプトは使いません。

手順4:月ごとの判定を表で出させる

「支払日」「未払額」「時効の完成日」「請求できるか」を月ごとに表で出させます。合計額だけでは、2年で計算したのか3年で計算したのかを見分けられません。

手順5:記録の保存期間と社内規程を確認する

賃金台帳・出勤簿・タイムカードを3年以上保存しているかを確認します。文書管理規程に「2年」と残っていれば直します。判断に迷う場合は、労働基準監督署か社会保険労務士に確認してください。

まとめ

  • 賃金請求権の時効は2年ではなく、本則5年・当分の間3年
  • 2020年4月1日以降に支払日が来る賃金が対象で、各支払日から数える
  • 付加金も当分の間3年、退職手当は5年のまま
  • 有給休暇を取る権利は2年のままで、休んだ日の未払賃金は3年
  • 賃金台帳などの記録は当分の間3年保存する

残業代の判定にAIを使うときは、まず4問のテストから始めてください。月60時間を超える残業の割増率は月60時間超の割増率の記事で解説しています。

出典:厚生労働省「未払賃金が請求できる期間などが延長されています」(https://www.mhlw.go.jp/content/000617974.pdf)

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執筆・監修

AI Scout編集部

AIツール・SaaS専門のレビューチーム。最新のAI技術動向を追い、実際にツールを使用した上で、正確で信頼性の高い情報を提供しています。

公開日: 2026年10月6日
最終更新: 2026年10月6日