AIが「就業規則は正社員10人以上の会社だけ」と答える2026|常時10人は事業場ごとでパート・アルバイトも数える、届出漏れを防ぐ5つの手順
AIに就業規則の作成義務を聞くと「正社員が10人以上の会社」と答えることがあります。常時10人は事業場ごとに数え、パートやアルバイトも含みます。誤りやすい4点と5つの確認手順を解説します。
「うちは正社員が6人で、あとはパートです。就業規則は作らないといけませんか」。AIに聞くと「正社員が10人未満なので不要です」と答えることがあります。これは誤りです。就業規則の作成・届出義務は、常時10人以上の労働者を使う事業場にかかります。この「労働者」にはパートやアルバイトも含まれます。
また、10人は会社全体ではなく事業場ごとに数えます。AIがこの2点を取り違えると、届出漏れや、逆に不要な届出の作業が生まれます。この記事では、AIが誤る4つの点と、正しく判定させる5つの手順を説明します。
就業規則の作成義務の基本ルール
労働基準法89条は、常時10人以上の労働者を使用する使用者に、就業規則の作成と労働基準監督署への届出を義務づけています。変更したときも届出が必要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 常時10人以上の労働者を使用する事業場 |
| 数える人 | 正社員・契約社員・パート・アルバイトを含む |
| 数える単位 | 事業場(本社・支店・店舗・工場など)ごと |
| 手続き | 過半数組合か過半数代表者の意見を聴き、意見書を添えて届出 |
| その後 | 労働者に周知する(掲示・配布・共有フォルダなど) |
作成・届出の義務に違反すると、30万円以下の罰金の対象になります。
AIが取り違える4つの点
1. 正社員だけを数える
最も多い誤りです。労働基準法の「労働者」は、雇用形態を問いません。週2日勤務のパートも、学生アルバイトも1人と数えます。正社員6人とパート5人の店舗は11人で、作成義務があります。
2. 会社全体の人数で判定する
10人は事業場単位で数えるのが行政の解釈です。会社全体で30人でも、各店舗が8人ずつなら、その店舗には作成義務がありません。逆に「会社全体は小さいから不要」と答えても、1つの拠点に10人以上いればその拠点は対象です。
3. 「常時」を「その日の人数」と読む
「常時10人以上」は、通常の状態で10人以上という意味です。繁忙期だけ一時的に10人を超える場合は含みません。一方、普段10人以上いる事業場で、退職者が出て一時的に9人になっても、義務はなくなりません。
4. 派遣社員や役員を数える
派遣社員は派遣元の労働者として数えるため、派遣先の人数には入れません。業務執行権のある役員も労働者ではありません。ただし、部長を兼ねる取締役など、使用人として賃金を受けている人は数える場合があります。
具体例:3つの拠点がある会社
正社員とパートを合わせて、次の人数がいる会社です。
| 拠点 | 正社員 | パート・アルバイト | 合計 | 作成・届出義務 |
|---|---|---|---|---|
| 本社 | 7人 | 2人 | 9人 | なし |
| A店 | 3人 | 9人 | 12人 | あり |
| B店 | 2人 | 5人 | 7人 | なし |
AIが「正社員が12人だから会社として必要」と答えると、理由も対象の拠点も外れます。義務があるのはA店です。A店の所在地を管轄する労働基準監督署に届け出ます。
なお、本社とB店に義務がなくても、就業規則を作ることはできます。服務規律や懲戒のルールは、就業規則に書いて周知しておかないと運用しにくくなります。小さな拠点でも作っておく会社は少なくありません。
届出の前に必要な手続き
作成や変更のときは、その事業場の過半数労働組合、なければ労働者の過半数を代表する者の意見を聴きます。意見書は、反対意見でも添付すれば届出できます。
過半数代表者は、投票や挙手などの民主的な方法で選びます。会社が指名した人や、管理監督者は過半数代表者になれません。AIは「社長が選んだ社員の署名でよい」と答えることがあるので注意が必要です。
AIに正しく判定させる5つの手順
手順1:制度の前提をプロンプトに書く
「就業規則の作成・届出義務は、常時10人以上の労働者を使用する事業場ごとに判定する。パート・アルバイトを含み、派遣社員は含まない。一時的な増減は判定に影響しない」と明記します。
手順2:拠点ごとの人数表を入力させる
拠点名、雇用形態別の人数、派遣社員の人数、普段の人数か繁忙期の人数かを入力します。会社全体の合計だけを渡すと、AIは事業場単位で判定できません。
手順3:境界の4問でテストする
| テスト | 正解 |
|---|---|
| 正社員6人+パート4人の店舗 | 10人で義務あり |
| 会社全体30人、各店舗8人ずつ | 各店舗に義務なし |
| 正社員9人+派遣社員3人 | 9人で義務なし |
| 年末だけ短期バイトで11人になる店舗 | 常時ではないので義務なし |
1問でも外れたら、そのプロンプトは使いません。
手順4:判定理由を拠点ごとに表で出させる
「拠点」「数えた人数」「除いた人とその理由」「義務の有無」を表で出させます。結論だけでは、パートを除いたのか、会社全体で数えたのか見分けられません。
手順5:届出は管轄の労働基準監督署で確認する
届出先は、その事業場を管轄する労働基準監督署です。複数の拠点で同じ内容の就業規則を使う場合は、本社でまとめて届け出る方法もあります。判断に迷う場合は、労働基準監督署か社会保険労務士に確認してください。
まとめ
- 就業規則の義務は「常時10人以上の労働者」を使う事業場にかかる
- パート・アルバイトも1人と数え、派遣社員は数えない
- 10人は会社全体ではなく、本社・店舗などの事業場ごとに数える
- 繁忙期だけの一時的な増加は「常時」に当たらない
- 届出には過半数代表者の意見書が必要で、会社の指名では選べない
労務の判定にAIを使うときは、まず4問のテストから始めてください。週44時間の特例が使える「10人未満」の数え方は週44時間特例の記事で、試用期間中の解雇予告は試用期間の記事で解説しています。
AI Scout編集部
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